第153回芥川賞受賞作 又吉直樹著「火花」感想

第153回芥川賞受賞作 又吉直樹著「火花」感想

又吉直樹氏の「火花」を読んだ。
火花
特設サイト

あんまりこの方のことは知らなくて、芥川賞候補になった時にTVで観て「へー」って思った。
なので、芸人としてはイメージが定着してないので余計な先入観なく読めたと思う。

始めはあまり興味も無かったのだが、Ever17や極限脱出シリーズの打越氏が以下の呟きをされて興味が湧き
3連休突入の嬉しさも後押しして購入した。

感想としては一気に読めたし本当に面白かった。
純文学とかそれほど読んでいるわけでもないし、
歴代の芥川賞もほとんど読んでないので今回の受賞がふさわしいかどうかは全然分からないが、
単純な読み物としては確かな出来だし読みやすかった。

打越氏の呟きを見た時は「泣けるの?」とか思ってたが、
後半の漫才シーンでは目頭が熱くなった。ああいうの弱いのよ…

でもよく考えたら漫才師って言葉のエキスパートだよなと。
言い回し、表現をその場で瞬時に変えて違和感を出してツッコんで笑わせるという。

一人称小説だったのも読みやすさに繋がってた。
唐辺葉介氏の小説が好きなら読んでみても良いかも。
読み味としては「電気サーカス」に近い感じ。

不満点は値段のみ。
単行本だから仕方ないかもけど、この厚さで1200円は割高に感じる。
受賞により更に増刷されるので、中古や図書館で探して読むのが一番良いと思う。
でも満足度高かったから、この値段でも納得はしている。
逆にあの厚さでしっかりと面白いと思わせてくれた。

暗い部分にはあまりスポットを当ててないから読後感も良い。
ライバル同士の足の引っ張りあいや、妬み・嫉妬などの描写がないから少し物足りない感じも受けるが
業界でどう生き抜くかというテーマよりも漫才師としてのあり方にスポットを当てた話だからこれは割り切る。

「火花」が気に入ったなら、そういった部分の描写がある漫画「べしゃり暮らし」がお勧め。
べしゃり暮らし
先日完結したようで、漫画で漫才とか難しいテーマをよくここまで書けたなと感心する。
これを読んで漫才界の内情ちょっとは知ったし涙腺に来たから、「火花」を気に入るのは必然だった。

気に入った一文。
ここらへんを指して打越氏はクリエイターに読んで欲しいと言ったんだろうな。

「一つだけの基準を持って何かを測ろうとすると眼がくらんでまうねん。たとえば、共感至上主義の奴達って気持ち悪いやん?共感って確かに心地いいねんけど、共感の部分が最も目立つもので、飛び抜けて面白いものって皆無やもんな。阿呆でもわかるから、依存しやすい強い感覚ではあるんやけど、創作に携わる人間はどこかで卒業せなあかんやろ。他のもの一切見えんようになるからな。これは自分に対する戒めやねんけどな。」

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